中国経済『アフターデジタル』を読んで
先日サラリーマンである父に『アフターデジタル』という本をもらったので読んでみました。
中国はキャッシュレス世界を通じてタオバオ、ディディ、ネット決済などの利用がはるかに便利になりました。ですが、キャッシュレス社会には、ただ支払いが便利になっただけではないという、「その先」がありました。その内容を知り、日本がそこからどう学んでいくか、
と言ったところがこの著書のだいたいの内容です。
中国のキャッシュレスは生活のスタイルを大きく変えました。
キャッシュレスだから携帯ひとつで出かけます。自転車は拾い乗りして好きなところで乗り捨てできる。タクシーはすぐに来るし、ワイマイも安い。
そしてアリババのタオバオは殆どのものがネットで買えるし、自分の好きなものがどんどん出てくる。
む?
自分の好きなものがどんどん出てくる?
そう、今回の『アフターデジタル』のミソの部分はここにあります。
デジタル世界の重要部分は、「情報」にあります。
タオバオでいうと、「買い物の世界」をデジタル世界と繋げたことにより、顧客が何が好きな傾向があり、何を求めているか、顧客の個性を活かしてより着実に購買意欲を促進する作用に効果をもたらしました。
DiDiや单车は、自転車でどこを始発にどこまで行く人が多いか、また、どこに自転車が集まるか、などの情報を得ることで、効率よくお店や商業を発展させることができます。
つまり、今まで調査やアンケートを通じて行われてきたようなことを、一瞬で洗い出すことができるのです。
事実、アプリを始める際に、「ここまで必要!?」と最初は身構えるくらい自分のデータを入力しなければなりませんでした。外国人はパスポートの情報、中国人は国内で使われている身分証で。これは、政府との関係性もあるのかもしれませんが、これによって、何十代の男性女性、というところからまたさらに細かい分類で動向を見分けることができるようにもなっていたのです。
顧客の情報データがたくさん集まり、傾向がすぐに定まる。これによって効率の良い事業展開ができるようになります。
簡単に言えば、外国人が多いところには外資のファストフード店、社会人が多いところにコーヒーショップ、人が集まるところにショッピングモールを新設する、など。事実、私の寮の近くには、サブウェイ、コーヒー店、セブンイレブンなどがありました。
そして、タオバオでもそう。私の友達はタオバオにすっかりのめり込んだ(?)と言って、毎日一つはタオバオで買い物している、と言っていました。その友達が買うものは、床に敷くマットや虫除けランプ、カバンなど、比較的生活に必要なもの。
タオバオを触ってみてわかりますが、たしかにタオバオで買い物をするのは楽しい。なぜなら、一度買い物の決済をすると、その直後にオススメの商品が滑り込んできます。その商品もまた魅力的。
画面に大きく乗った写真はとてもわかりやすいし、永遠にウィンドウショッピングをしているような感覚。暇つぶしにタオバオの商品を眺めてワクワクするだけでも一つの楽しみに出来るほど。
しかし、私のタオバオには家具やマットのような生活必需品は現れません。なぜなら“私には”それは必要が無かったから。私は四人部屋の寮に住んでいて、初日にIKEAまで行き掃除道具から手洗い石鹸まで全て買い揃えましたし、自分で突然床にマットを敷くほど個人スペースもなかった。“必要なものには個人差がある”のです。
私は変なシールやTシャツなどを眺めることが多かったので、そのような商品が上に上がってくるようになりました。
話が長くなりました。
つまりは、人々の生活の世界がアナログ世界だけでなくネット上にも広がるようになった。そして、その情報を握るものがビジネスを制する時代が来ているかもしれない。
といったところでしょうか。
日本ではどのようにこの世界を広げることができるか。
キャッシュレスに乗り込んだ会社が散逸し、まだ一歩壁を越えられない今の状態。
①どうしたらキャッシュレスを統一できるかを考える
②統一よりは、自分たちの会社だけでもより多くの情報を握る
③仲介的なビジネスは実現可能か
私が思いつくのはこの辺です。学生なのできっと社会人の方から見たら経験と知識と発想にまだまだ先があると思います。もう少し考えてみることとしますが、何か助言を頂けたらこの上なく有難いことです。
今、似た状況にあるのはSuica、PASMOなどのタッチ式の交通。これは、シンプルではありますが、人がどの駅によく訪れるか、ある程度の把握ができますね。また、どの年代がどの時間帯に多く乗るか、でダイヤを変更することで、混雑をさらに解消出来る。これはもうやっているかもしれませんね。
多くの情報の宝庫とも言えるのでは無いでしょうか。
Twitterでは、レーティングサービスとしてテレビの感想を収集する、というものも始まっているそうです。
しかし難しいのは、タオバオや自転車のように、会社側が提供したものにうまく顧客が当てはまっていく「アンケートタイプ」ではなく、Twitterは吐き溜めのように、定義のない言葉を並べたものが多く、情報収集は比較的難しい。ここをどう対処していくべきか。しかし一方で「リアルタイム」としてYahoo!で検索のヒントとして利用されている一面を見ると、ある程度のワード検索で情報をまとめられる可能性もある。
それだけじゃない、リツイートの量など、“バズり”に目を向けたら、もっと面白いことができるのでは?
また、インフルエンサーを調査し。フォロワーのタイプを見ることで、顧客の特徴を見ることも出来るかもしれない。
「人に個人情報を教えてはいけません」小学校の時から口酸っぱく言われてきた。そのせいか、個人情報が出回る、というものにはなんとなくマイナスなイメージがある。
しかし個人情報というのは、豊かに使えば、デジタルが世界に溶け込み始めたこの社会でうまく次の段階に乗せることができるかもしれない。